第30章 本格的な雨で一時中断
櫻井視点
A「…んがいだなぁ」
キーの高い雅紀の声が聞こえた。
(うんがい?よく聞き取れなかった…)
隣にいる潤を見る。
潤もなんとも言えない顔をしている。
「なんだろうね」
M「ねー?」
駆け足で三人に近付く。
智くんの服をつかんでいるニノ。
(なっ なに?どうしたのニノ。そんな顔して…)
ニノの頬の色が少しだけ赤みを挿している。
(照れ?じゃねーな…)
O「ドットコム製?」
智くんがニノと雅紀を交互に見ている。
A「そうです!」
胸を張る雅紀。
(なに?なに?ドットコム?)
智くんの側に近付くと、微かに アマグ ツクル と言葉が聞こえた。
(雨具?…)
O「着る」
即答する智くん。
(あぁ…)
三人の動きとさっきの声でなんとなく察しがついた。
O「翔くんは?」
智くんが、当然のように振り向きながら聞く。
「いいよ。俺は、ドンドン着替えるから!」
服を抓んで見せる。
ちょっと残念そうな顔をする智くん。
(あら?お揃いが良かったのかなぁ)
M「おれもいいよ。機材揺らすといけないから」
すぐ後ろにいる潤が、智くんに答える。
智くんが笑顔で潤を見る。
(いい顔でしょ?)
A「オッケィ。」
雅紀が動き出す。
(張り切っちゃって、メインはライブだぞ…)
慌てて追っかけるニノ。
「問題は無さそうだね?」
智くんの隣に立つ。
O「ああ、問題ない」
智くんが穏やかな返事をしてくれた。
A「よろしくお願いします!」
両手を伸ばして頭を下げる雅紀。
N「助手!!」
大袈裟に声を出すニノ。
(だから 張り切りすぎるなよ)
M「照れちゃって!かわいい」
ニヤニヤ笑う潤。
「聞こえるぞ?」
M「あーなったら、聞こえないよ」
雅紀の背中を押して歩いているニノの背中を親指で指す潤。
(案外 聞こえてるんだよなぁ オレらの事…特に、雅紀の事…)
O「先に着替えてようか?」
智くんが嵐コンテナの方に歩いていく。
(あ!待ってよぉ)
「智くんもミルクティ飲まない?」
O「さっきニノ達が飲んでたヤツ?」
M「そうそう
浜地さんの事だから、蜂蜜もいれてくれそうでしょ?」
O「蜂蜜入りかぁ…いいね」
「じゃ、早速頼んでくる!」