第25章 専属は 簡易キッチンで
吉桜視点
スタッフ『すみません 機材チェックします お時間ください』
運営スタッフから 全体連絡が入る。
「不具合でしょうか?」
浜地「なんでしょうね…」
M『俺たち着替えしまーす』
マイクを通して、休憩を宣言する松本さん。
(皆さんが戻って来る!!)
浜地「吉桜くん『お出迎え』をお願いしていいですか?」
「はい」
いそいそと 嵐コンテナの入り口に直立してお出迎えの姿勢を取る。
『お出迎え』
不審者の入室を防止するためマネージャーが入口に立ち、部屋に入る人に声をかける事。
(いつも 本郷さんが立っているんですけど…
うれしいな、僕も専属らしくなったってことかな)
こちらに向かって歩いて来る松本さんと二宮さんに近づく浜地さん。
浜地さんにペコっと頭を動かして、そのままコンテナに向かう松本さん。
「お疲れ様です」
背筋を伸ばして挨拶する。
M「ん」
頭を少し動かし中に入って行く松本さん。
(わー オーラバンバン出てるよぉ)
浜地さんと話していた二宮さんが一人コンテナに上がって来る。
「お疲れ様です」
背筋を伸ばして挨拶する。
S「アイスカフェオレ作って!」
いきなり翔様の大きな声が聞こえる。
翔様が大きく指を二本出している。
「はい 只今!!」
キッチンがあるコンテナに向かう。
簡易キッチンに飛び込んで急いでアイスカフェオレを作るつもりで冷蔵庫を開く。
「あれ?アイスコーヒーがない…あ!これ…」
中にあるコーヒー類は焙煎豆の入った袋。
(どうしよう…ミルあるかぁ…)
袋をもったまま 戸棚をパタパタ開ける。
(あ!そういえば…コンテナの中にバリスタあったなぁ…)
テーブルの足につま先が当たって、体のバランスを崩す。
「わぁ!!」
持っていたコーヒー豆をテーブルにばら撒く。
いつもの穏やかな浜地さんからただならぬオーラを感じる。
(ヤバい!ヤバい!)
「すみません!すみません!!」≪巻き戻し≫
あちこちにばら撒いたコーヒー豆を霊力を発動させ、袋に戻していく。
浜地「私が作りますから」
僕の肩を優しく触る浜地さん。
「あ…すみません」
発動中の霊力が納める。