第2章 それぞれの朝の動き
櫻井視点
扉に近づくと カリカリ 爪を立てるような音が聞こえる。
「はいはい」
扉を急いで、開ける。
開けた扉の向こうからテンションの高いオーラが伝わって来る。
A「翔ちゃぁ~ん」
ガバッと抱き付いて来る雅紀。
(ぁ… 上半身裸なのね…)
背中をポンポン叩きながら、部屋に迎え入れる。
(扉…閉めれない… すぐに和也来るからいいか…)
テーブルまで来ると雅紀が離れてくれた。
A「あー…コーヒー?」
鼻をクンクンさせながら部屋を見回す雅紀。
「そうだよ」
やりかけになっていた配線を整えていると「貰っていい?」と雅紀に聞かれた。
「どうぞぉ キッチンに…」
雅紀の方を向くと すでに飲んでいた。
「それ ニノのだよ?」
雅紀が持っているマグカップを指さす。
A「え!そうなの?怒られるかなぁ?」
マグカップを覗き込む雅紀。
(さすがに)「『吐き戻せ』とは 言わないと思うよ」
A「お金取られるかな?」
親指と人差し指をくっつける雅紀。
「かもな!はは」
A「ひゃははははは」
二人でニノを想像して笑っていると
N「はいはい バカ騒ぎは終わりね?」
ニノがパソコンを持って帰って来た。
(わ! ビックリ!!)
口を押えて俺を見ている雅紀。
(すごい タイミングだねぇ)
口パクする。
うんうん と 頭を動かす雅紀。
N「貴方には仕事があります」
和也が真顔で雅紀に近づく。
A「ん 何すればいいの?」
グイッとコーヒーを飲み干す雅紀。
N「松本氏をここへ 連れて来てください」
雅紀の顔に向かってカードを見せるニノ。
(わ!ペナルティだ!!)
A「潤ちゃんを?」
雅紀がマグカップをテーブルに置く。
N「そうです」
A「いいよ 行ってくる」
すんなり言う事を聞く雅紀。
(逃げる気だな…)
A「あ!ニノのコーヒー飲んじゃった ごめんね♡」
走って出て行く雅紀。
N「はぁ? ちょっとぉ!」
雅紀を追い掛けようとする和也。
「潤が来るまでに あらかた決めておこか?」
和也に声をかける。
(雅紀に逃亡の時間をあげないと、ふふ)