第8章 その船…この船?
二宮視点
(少し、色は変わっているけど、設備の位置は同じだ…)
チーフの顔が見えたから、声を掛ける。
「これ、誰の船?」
チーフ「この船は一般の人所有だそうだ」
S「船このために借りたのかな?」
A「リーダー!みんな!上に上がってきてよ!」
マー君が俺たち呼ぶ。
リーダーと翔さんが登って行くのを見送る。
理解者が俺の周りを飛ぶ。
{カズナリ 周囲異常なし だが この船で海に出るようだ 用心必要}
≪…わかった≫
チーフ「二宮!」
「はい!なに?…」
振り向いてチーフが持っているペットボトルで大体の内容はわかった。
(もう少し早く、理解者に偵察させときゃ良かった…)
「このまま…船出すの?」
チーフ「そうなる。今薬を飲んでいたら…最悪は避けれるだろ…」
「最悪…」
脳裏に浮かぶ散々な過去の記憶。
チーフが水なしで飲める酔い止めを出してくれた。
チーフ「最後に飲んだのが…」
「昼前だから大丈夫だよ」
薬を受け取って、すぐに口の中でかみ砕いた。
(今日…二個目…この味…)
チーフ「水があった方がいいだろ?」
「うん…」
ペットボトルを受け取る。
チーフ「着替えて写真も撮るから、おとなしくしていろよ」
(撮影もあるのかよ…急いで薬飲んでも、すぐに効くわけないよぉ…)
「はい…」
一口水を飲んで、二階のデッキ登っていく。
デッキに上がると15年前撮った写真をみて、話をしているところだった。
A「これを見ても、思い出せないや!」
マー君が話から離れ、俺の方に近づいてきた。
A「やっと、上がってきた(笑)
…ニノ? どうしたの?」
マー君が不思議そうな顔で俺を見る。
(聞きますか?今の私にそれを聞きますか?)
A「…あ……」
マー君は『聞いてごめん』と顔に書いていた。
(俺は船が嫌いだ!
そう船酔いします。絶対します!
デビューの会見の時も吐く寸前だったんですよ)