第85章 バク転はまだ地雷だった?
大野視点
(翔くんの頬が膨れている…)
頬をちょっと突いてみた。
(いつもなら
『もう…』とか『やめて』とか言いながら笑ってくれるのに…)
頬のふくらみが戻らない翔くん。
(ああ、やっちゃったな…目もあわせてもくれなくなったよ…
バク転ってまだ…地雷…だったかぁ
何年前だったかなぁ
テレビで出来た時、ダメ押しみたいな事言っちゃったからなぁ…
M「って事は。私は“しろ”っと言う事ですか?」
松潤の声が聞こえた。
「あっ!」(この子の事もあったんだ…)
S「あぁ」
翔くんの困った声が聞こえた。
(お!気持ちが緩んだかな? チャンスかも…)
「そ!そんな コトはっ 一言も言ってないぞ?」
少しムッとしたような松潤に声を掛ける。
(潤のネタで、拗ねた頬を元に戻ってくれるといいなぁ…)
「ね? 翔くん」
S「そう…
…だね。 確かに 言ってはない」
少し間があったけど、翔くんが普通に返事をしてくれた。
「だろ!松潤に『しろっ』て言ってない! ちょっと ハワイの演出で思い出したから言っただけだよ」
(ヤバい!!翔くんの機嫌が直らないっ)
N「ま!その演出も無きにしも非ずだけど、嫌なら 残った三人のジャンケンに勝てばいいんだよぉ?」
ニノが松潤の背中をポンポン叩いている。
M「わかった!」
ニシっ笑う松潤。
(そっちで話してて…)
M「勝ってリーダーに〝アイドルスマイル〟効果音付きをしてもらう」
愉しいこと目の前にした子どものような笑顔を俺に向けてきた松潤。
(わ!かわいい顔だけど、今じゃない)
「そう言うのは、相葉ちゃんの方がいいじゃん!」
相葉ちゃんの肩をポンと叩いてちょっと、声をはる。
A「えー」
相葉ちゃんが、大きな口を開けて、身体の向きを変える。
いつもなら、ここで何かいってくれる翔くんが、何も話に入って来ない。
顔はこっちを向いているのに、誰を見ている訳じゃない。心を閉ざしそうになっている翔くんが立っていた。
(翔くん…
おいら…そんなに嫌だったなんて、思わなくてぇ ごめん… ごめんよぉ)