第78章 魂の宴 挨拶文を作ろう
櫻井視点
和也に挨拶文を構成してもらうことにした。
だから「まとめてて♡」と言った。
N「え?翔さん?」
和也がポカンと口を開ける。
潤と雅紀も同じ顔をしている。
(なんだよ!怒った方がよかったのか?)
三人の顔を見て、ちょっとムッとしたけど、智くんがニコニコしていたから、俺も笑えた。
「俺たちが、バンバン挨拶に使えそうな言葉を出すから、和也が5×10みたいに“この場にあった面白い挨拶”にしてくれない?」
(そのほうが、みんなが楽しくなるでしょ?)
なかなか手帳を受け取ってくれないから、自分から和也の手を取って、手帳を渡した。
和也が俺の手帳を見て考えている。
M「いいな~翔さんの手帳だぁ~」
潤が手帳をツンツン突きながら和也に絡んでいる。
N「う、うん…」
手帳を開いて中身を確認する和也。
(和也 周りが見えすぎるから、怖くなるんだ
大丈夫 五人が集まっているココは、そんな 気遣い必要ない)
立ったままいる雅紀に「翔ちゃんは怒ってないよ」智くんがニコニコ笑って話しかけている。
「ね~ どうして俺が怒らないといけないだろうね?」
口を尖がらして、智くんの後ろでふざけてみた。
A「大ちゃん…翔ちゃん」
雅紀が不安な声が出す。
(そんなに 肩を落としてぇ落ち込みすぎ…)
O「もう そんな顔しないのぉ」
智くんが肩を押して下を向く雅紀の体と、沈みそうな心を抱きしめる。
抵抗しない雅紀の肩を俺も「笑顔 笑顔」と声を掛けながらポンポン触る。
O「無理やりミラクル起こそうとしなくても 俺たち五人は〝そのまま〟で うまく回って行くよ」
智くんがふにゃっと笑って雅紀を見つめる。
確認するような目で智くんを見ている雅紀。
O「せっかくの宴でしょ?」
首を傾げて笑う智くん。
A「ふふ」
雅紀の不安は智くんの笑顔で薄くなっていく。
(よし 雅紀…は智くんが…だから…)
潤をみる。
(俺はこっちだな…)
「お前にも。だよ!」
羨ましそうな顔をしている潤の後ろ側から頭をポンと触る。
潤は“ヤバっ”という目で俺を見た。
(そんな目で見るなよ
大丈夫。
俺たちは“みんな”を見てるよ)