第75章 魂の宴 話して 聞きたい
松本視点
「ねぇ翔さん」
俺が声をかけると、翔くんが俺の方を向いた。
「精霊様に挨拶するんだよね?『人たち』ってどうなの?」
ちょっと気になった事を口にしただけだった。
『は?』っと翔くんの口が動く。
『はぁ?』っと翔くんの眉が動く。
O「え?だめかな?」
リーダーが不安そうに眉を下げ、翔くんに近づく。
俺を見ていた顔が勢いよくリーダーの方を向いて「だ、ダメじゃないと思うよ」と早口で言う翔くん。
(ヤバ……
いつもこうだ…
俺が考えなしに 疑問を言うから、周りが慌てだす)
周りを見たくて視線を変えた先には
ニノの頬を愛おしそうに摩る相葉くんと『スリスリしたい』みたいな顔のニノ。
(ふーん そっちはloveな空気なのねぇ)
何も見たくなくて、下を向く。
(俺…)
ちょっとだけ 寂しさが湧いて来る。
S「ほら、潤も!」
翔くんの声が聞こえて顔を上げる。
翔くんが、俺を手招きする。
その横で眉を下げているリーダーがいる。
(いや 俺の質問はどうでもいい事なんだよ リーダーの方を優先して…)
翔くんの目に〝力〟が入る。
(あ…はい…)
ゆっくり翔くんの側に行く。
(目に力が入っている時の翔くんには、逆らわないほうが良い)
S「『嵐』は“人”のアイドルだから、人でいいと思うよ」
翔くんが俺とリーダーを交互に見ながら話をしている。
(あ…そうか…『嵐』として 呼んでもらった〝宴〟だから『人達』でいいのか…
俺のモモとか お嬢とか 翔くんの駒とか 関係ないんだね…)
N「そう!そうだね!
嵐は人のアイドル♪ 俺らは“人の子”なんだ」
ニノがニコニコ近づいて来て、肩をポンポンと叩きながら笑った。
「そっか!(ニノも言うなら)わかった!」
これ以上 心配させないように笑顔で答える。
(二人に、これ以上負担は負担を掛けるわけにはいかない。
俺だって 三十超えた いい大人…)
リーダーと相葉くんが肩を組んで笑っている。
翔さんがニコニコしている。
(俺がちゃんと 地に足付けて 踏ん張らないと…)