第73章 魂の宴 食べて飲んで 話して
櫻井視点
O「はーい やめーい」
いきなり智くんが俺と和也の間に腕を伸ばしてきた。
(え?なに?)
和也を支えていた腕の力を抜くと、少しだけ隙間が出来た。
智くんが何の説明もなく俺の腕を掴んで、背中の方にを引きよせる。
(わっ! なに もう 説明して!!)
体の位置が安定したから、智くんに声を掛けようと手を伸ばすと、智くんの背中からちょっと『熱』を感じた。
(ん… 熱? 怒ってるの? って いうオーラは無いね?)
智くんの肩をちょんちょんと合図をするけど、反応がない。
それどころか、動かなくなった。
周りを見回すと、雅紀が両手を頬に当て、ひゃぁぁと声なき声で叫んでいる。
(え?俺 やらかした? 俺、なんか間違った?)
和也が口をポカーんと開けて固まっている。
(あああぁ コッチ側だから、周りの目を気にしなかったから…
雅紀に誤解されたと思っちゃった?
ごめぇん そんなつもりじゃなかったのよぉ)
今すぐ、雅紀や和也の所に弁解?行動の意図を説明に行きたいけど、智くんが俺の腕を掴んで話してくれないからいけない。
(『離して』って言うのも…なんかイヤだし あっ…)
腕を持たれたままだから、智くんが動き出すと一緒に動かないといけない。
智くんが固まってしまった和也に、さっき俺が持ってきたサラダの乗ったボールを持たせた。
O「すきっ腹に酒を流し込むから、体がびっくりするんだよ」
ものすごく、真剣な声で言う智くん。
(ああ…兄さん
あなたって人はボーっとしてても、ちゃんとみんなの事考えてくれていたんですね!
背中しか見えないけど、きっとイケてる顔してるんだろうなぁ)
ふふっと嬉しくて笑っていると、向こうの方で潤が、腹を抱えて笑っている。
(笑うな!!)
潤をひと睨み。
潤がピクッとして、ペコっと頭を下げた。
(まったく、潤のヤツ 智くんちょっと男前な事 言うと茶化す 困ったもんだ。
もうちょっと キツメに躾けとこうかなぁ…)
O「これ!さっき翔くんが美味しいって言ってた、サラダ!食べてみ!!」
ニノにサラダを食べるようにガンガン進める智くん。
(うんうん 体に優しい味だったよ!!)