第73章 魂の宴 食べて飲んで 話して
櫻井視点
智くんが、何か食べたいと、オーダーが入った時は、迅速に行動しないといけない。
なぜかって?
そりゃ、食事の楽しさを知ってもらう為だよ
あの人はね。あんまり食べない。
決して 好き嫌いがあるわけじゃなくて
『食事』を忘れてしまう らしい
信じられないよ
「なにから、食べる?俺のおすすめはねぇ」
(智くんの好きそうな物はさっき確認したよ)
ちょっと 大きめのお皿を手に智くんの横に立つ。
O「おいらね、ピザが食べたい!」
にこっと笑う智くん。
(ピッツァ!)「わかった取ってくる」
ダッシュでテーブルに向かう。
確かね このテーブルに!!
複数チーズ ベーコンオニオン シーチキンかな? 温野菜が乗ったの とか色々 皿に乗せていく。
「ね?魚の切り身が乗ったピッツァ作れる?」
トックをかぶった小さき霊に声を掛ける。
※『トック』はフランス語でコック帽子の事です
小さき霊が微笑む。
「じゃ 大野さんの所に運んで」
トックをかぶった小さき霊が頭を下げ消える。
≪もっと お酒!≫
ニノの命令が聞こえてきた。
(おいおい。ここでその“声”使うと、とんでもない量来るぞ!!)
和也の側に走る。
ニノのグラスに光る水滴が円を描くように集まり、お酒に変わっていくのが見えた。
≪『翔』の名で訂正 グラスの精霊よ適量キープ!!≫
かなりの勢いで満たされたお酒が、グラスの淵でこぼれずに止まった。
(ふう 間に合った…)
グラスの中身を真っ赤な顔で一気に飲み干す和也。
M「あーもう お前は…」
空になったグラスを取り上げる潤。
返せとばかりに、手を伸ばしてくる和也。
(あぁ俺の見ていない所で、何か言われたか?それとも自爆か?)
A「まだ 苦しい?」
背中をトントン叩きながら、キョロキョロしている雅紀。
(水が欲しいんだな!)
「だれか、水を!」
側に控えている、小さき霊たちに声を掛ける。
霊が木製のボールを差し出した。
(手を洗いたいじゃないの…)
O「飲みたいんだ。グラスにしてくれる?」
智くんが優しく小さき霊に言う。
小さき霊が縦に頭を動かして、グラスを差し出す。
そのグラスをうけとって「雅紀!」を呼んだ。