第73章 魂の宴　食べて飲んで　話して

松本視点

料理を選んでいるようなふりをしながら二人を見る。

Ｓ「タロ芋はね…」
　少し背中を曲げ、説明をしようとする翔くん。

Ｏ「美味しい物は『美味しい』でいいじゃん！」
　おどけた声で料理の方に顔を向けているリーダー。

Ｓ「さ、智くん！　コレとか美味しいよ！！」
　サラダの盛り合わせを器ごと差し出す翔くん。

Ｏ「ふふ」
　笑顔で返すリーダー。


（ふっ翔くん　必死なだなぁ…
　俺もちゃんと食べよう　あ！この唐揚げ旨いな！）


｛マーでは、ない！！｝
感情的な声が耳を刺す。


その声の方を向くと、空に駆け上がる光の筋。


≪猴！どこ行く≫
　ニノの声もする。


（何か…あったんだな！）
｟モモ！宮様の所に走れ！！｠

｛承知した｝
モモが光の筋を追って空高く飛んで行った。


直ぐにメンバーを確認する。

　翔さんとリーダーは光の筋を見上げている。

　ニノは仁王立ちしている。

　相葉くんは小さく頭を振っている。


（相葉くんが攻撃されたのか？）



Ｓ「智くん…」
　翔くんがリーダーの体に近づく。

Ｏ「大丈夫。ちょっと…マナに酔っただけだよ」
　眉を下げながら翔くんを安心させようとしているリーダー。


　唇を尖がらす翔くん。

　ふーっと息をはいたリーダーが「見てみ…」と顎が少し動かす。


顎の向いた方を俺も見る。


「はい！あーん」と言って、ニノの半開きの口に芋を押し込む相葉くん。

　ニノが一瞬で固まった。


（たくっ　当事者がそんなだから！）



Ｏ「もし！この宴の間者が紛れ込んでいて『雅紀』があんなに穏やかでいられると思う？」
　力強く言うリーダー。

（確かにそうだけど…）

意識を空から二人に変える。


　翔くんが相葉くんを見つめている。
　その翔くんを見つめるリーダー。


「大丈夫？」
翔くんに聞こえないように小さく声を掛ける。


Ｏ「ん？」
　リーダーが不思議そうに俺を見る。

「なによ？俺は智さんを心配しちゃ、ダメなのかよ」
ちょっとだけ拗ねた言い方をする。


（うちの兄たちは、俺の『機嫌』に敏感。

　今は、あなた達の気持ちを『外』でなく、俺たちを見ようよ！

　ニノの宮様の事はモモが対応してくれる


　…


　　はず…



　ケンカしないといいなぁ…　　）