第71章 魂の宴
櫻井視点
身なりが落ち着き始めた。
たくさんの花を飾られたテーブルに、ハワイアンドレスを来た少女が色鮮やかな果物や、美味しそうな香りのする料理の乗った皿を持って次々とやって来る。
{花ノ冠スル オ二人ニ…}
シャンパングラスをトレイに二つ乗せて差し出してきた。
(冠する二人だって…)
横にいる智くんをゆっくり見る。
智くんが困った顔で眉を下げる。
(きっと このハイビスカスの事だよ)
O「ありがとう」
智くんがグラスに手を伸ばす。
空だったグラスに勝手に液体が満たされていく。
このグラスは、伏せるまでお酒が満たされる『精霊のグラス』こういう精霊主催の宴に欠かせない物。
M「あ…」
A「どうなってるの?」
雅紀と潤がグラスの中に輝く液体を覗き込んでいる。
O『二人とも覚えていないのかな?』
智くんの口が動いていないのに言葉が頭の中に入って来る。
『10周年の時の事言ってる?あなただって、ほとんど覚えてないでしょ?』
O『たしかに、楽しかったのは覚えてるけどね』
『それだけでも、覚えていてくれたらいいよ』
(俺と智くんは、こっち側に来たらほとんど、声を出さなくても、会話ができる
いつからなのか?どうしてなのか?頭がモヤモヤして、わからないけど…)
O『難しい事は、考えないでおこう!!』
智くん残ったもう一つのグラスに手を伸ばす。
(あなたに、そういわれると…考えることを止めちゃんだよね…)
A「飲んでいいのかな?」
グラスに鼻を近づけてクンクンしている雅紀。
N「行儀が悪いですよ…」
雅紀の足を蹴りつける和也。
A「っ!いったいよ…」
よろっと体を揺らして、足を摩る雅紀。
(あぁ 暴力的指導が入ったぁ)
O「はい 翔くんの分♪」
持っていたグラスを俺に向ける。
「ありがとう」
智くんからグラスを受け取る。
{嵐のみなさん。どうぞ お飲みください}
虹の乙女が微笑む。
A「ほら!良いってよ!」
嬉しそうにグラスを和也に向ける雅紀。
N「はぁ…もう… どうしますか?」
和也が雅紀の手で押さえながら行動確認をしに来た。
「日本式の宴じゃないから」
グラスを少し上げる。
O「飲もうっか!」
智くんがニコッと笑って俺の言いたかった事を口にする。