第71章 魂の宴
二宮視点
グラスをトレイから俺の躰に近づけると、空だった器の中に輝く液体が満たされていく。
(あぁ『精霊のグラス』か…)
A「どうなってるの?」
マー君がグラスを覗き込んでいる。
M「…だね」
潤くんもグラスの中に輝く液体を見つめる。
(ん?コレ初めてじゃないよね? ああ あの時は…それどころじゃなかったかぁ)
たった5年前の宴を思い出して、口元が緩む。
A「飲んでいいのかな?」
グラスを鼻に近づけてクンクンしているマーくん。
(ちょっと、ココには上位の精霊がいるです!もう!!)
「行儀が悪いですよ!」
マー君の足を軽く蹴りつける。
A「っ!いったいよ…」
よろっと体を揺らして、足を摩りながら俺を睨み上げる。
(ふん!今のは お前が悪いんだ!)
{めごい公し キギスをそのあだりで ゆらしてあべげて}
緑色の頭、白い首輪、灰白色と黒褐色の胴体とあざやかな鳥顔の精霊が俺の側にやって来る。
(許して上げてって…)
{めごいのぉ}
目が笑っている鳥霊。
(もう、精霊様からのお願いなら、断れないじゃん…)
{嵐のみなさん。どうぞ お飲みください}
虹の乙女から声がかかる。
A「ほら!良いってよ!」
嬉しそうにグラスを俺にグイグイグラスを顔に押し付けてくるマー君。
「はぁ(まったく)もう(どう見られても、知りませんよ) どうしますか?」
グラスを手で押さえながら翔さんに行動確認をする。
S「日本式の宴じゃないから…」
翔さんがグラスを少し上げて、ニコッと笑う。
O「飲もうっか!」
大野さんもニコッと笑う。
M「でも『乾杯』はしたいな…」
潤くんが小さく呟く。
(チン…の事?)
O「じゃ…小さく『乾杯』する?」
大野さんが潤くんのグラスに自分のグラスを近づけてきた。
S「そうだね」
翔さんもグラスを潤くんのグラスに近づける。
「日本人ですし」
グラスを近づけてくる。
A「では では♡」
ニコニコのマー君がタイミングを取る。
チン
五つのグラスが触れた時の綺麗な高音が響く。
(マナー違反でも いいんだよね)
グラスの液体はシュワっと炭酸?の泡と甘い果物のような飲み物だった。