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虹と花とキミ達と 1 《気象系》

第68章 虹の乙女の詠唱(メレ) 虹の精霊からの祝い言



{はじめます}

両手の掌を上に向け、詠唱(メレ)を唄い始める。


 “父なる空と”
右手を上げる

 “母なる海の”
左手を横に広げる



乙女の掌から、『虹のマナ』が溢れる


 “間に 生まれし 我が地”
両手の掌を上に向け、しゃがむ。



 “大地にすべての命の源 種 宿る”

小さき精霊が集まって、周りを囲っていく


一息拭くと、ゆっくり、そして麗しく舞い始める。



 “柔らかな風と 麗しい水に育(はぐく)まれ

  新たな芽が息吹く 暖かな陽ざし浴び

  大きく葉を広げ

  花を咲かす

  その花に 輝きが集まる”


しなやかに舞う乙女の、周りに集まった小さき精霊が、同じように舞い踊る



 嵐の五人は目を輝かせてその壮大な舞を見ている





柔らかな輝きは徐々に暗い色へと変わる



 “迷い多くなれば 雷(いかずち)が落ち”


雷鳴が轟く



 “葉を凍(こご)わす”

冷気が嵐の五人を包み込む


 嵐の五人が身を寄せ 手を繋いだ。



乙女は微笑み 両手を高く伸ばす。


 “その暗明を潜り抜け 共にする手を繋げ”



暗い空間に 一筋の光が嵐の上に降り注ぐ。



光の中に無数の輝きが一つの塊になっていく。

輝く固まりは、女性のような姿に代わる。



  大きくなりましたね…


  mizuとkazeに護られし者

  すっかり“人”に成長したのですね…


耳を震わす声でなく 頭に直接聞こえる声が響く



  与えられた定めは…

  避けることはできぬ…


  しかし、ソナタ達は潜り抜けた…




  十五年の年月は 人の営みでは

  童より人に成長すると聴く

  身を清め 正し そして笑え


  ソナタ達が流した 汗と涙が
  新たな『虹』を生む


  その虹を渡り 次を見つめよ



「「「「「はい」」」」」」
 五人が声を揃えて言う。


虹色の輝きは 五人の回りを舞いはじめる
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