第66章 花を冠(かん)して
櫻井視点
{…そうですね。失礼しました…}
虹の乙女が申し訳なさそうに小さく頭を下げた。
「いいえ、こちらもまだ、ふらついておりまして」
(やばいな…変な空気にしちゃった)
メンバーを見ると、ヤレヤレといった顔の和也。
フーッと一息ついている潤
ポカンとしている雅紀。
ジーッと俺を見つめる智くんがいた。
(ごめんよ)
小さく片手を立てる。
にこっと返してくれた智くん。
{わたくしは 虹の乙女として 貴方たち 五人に 祝詞を捧げます}
俺たち五人の前に跪く乙女。
みんなの頭の上にあるハイビスカスが輝き出す。
(『開式の挨拶』みたいなものね…)
雅紀の花が輝かない。
{緑の輝きの方…花を頭へ}
乙女が雅紀に花を飾れと促す。
(自信をもって かかげてみろよ お前の花は輝く)
緑色のハイビスカスをそっと持ち上げる雅紀が少し顔を曇らせる。
(だから そんな顔するなよ…この花は俺たちの今まで歩んできた証なんだから…)
N「何してるんですか?まったく…」
しびれを切らした和也が雅紀の首に下げている緑のハイビスカスを掴む。
口をパクパクさせる雅紀。
N「ちょっと、しゃがみなさいよ!!」
半ギレの和也。
A「あ、うん…」
慌てて雅紀が膝を付くと、和也が花を頭の方に持っていく。
M「動かないでね」
潤が、どこから出したかわからないピンで頭に固定した。
A「あ、あの…」
モジモジしながら見上げている雅紀。
M「これでよし!変に頭動かすなよ!」
雅紀の額をピンと弾く潤。
少し涙目の雅紀が擦っている。
N「一人だけ、頭に載せないなんて“俺”が許さない!」
頬を膨らます和也。
O「よし 五人『揃い』になったね」
智くんがしゃがんでいる雅紀の肩に手を置く。
A「大ちゃん…俺…」
唇を少し震わせながら立ち上がる雅紀。
O「相葉ちゃんは‘考えすぎ’すぎなんだよ」
優しい目で雅紀を見つめている智くん。
(その目 いい目だね…でも…)
「智くん?その『考えすぎすぎ』って何?」
(気になっちゃうよぉ)
O「え?変?『考えすぎ』のすぎ?」
首を少し傾ける智くん。