第4章 ARASI doesn't know a secret.
櫻井視点
さっきの温かい光と手の中にある真っ赤なハイビスカスをみる。
(赤い花…嵐のロゴ…ってことぉ…
そうか…俺は今『嵐の花』を受け取ったんだ!!
気持ちが軽くなった…さぁ仕事するぞ!!)
聖地から道まで歩いて出ると“ヴィトー”が止まっていた。
翔専属「櫻井さーん」
吉桜が手を振って降りてきた。
「あ…吉桜…」
(さっき助手席の男性と言い争ったけど、ケガとはなさそうだな)
翔専属「どうしたんですか?早すぎませんか?」
時計を見ている吉桜。
(説明…どうしよう…精霊にあったよ?か?)
言葉を選別しているうちに、チーフが話し出した。
チーフ「撮影は中止した」
翔専属「トラブルですか?」
チーフ「急に雨が降りだしてきて、
欲しかった聖地の風景が変わった」
残念そうに説明するチーフ。
翔専属「雨降りました?」
チーフ「局地的だから…まーな…
でも、いい物も見えたぞ。
虹が出た。良い事ありそうだろ!!」
翔専属「写真は?」
チーフ「ない。
いいじゃないか…ドールでその分取るから!!」
チーフが笑った。
翔専属「チーフがいいと言うなら、僕らは何も言えません…」
あまり人前で笑わないチーフの笑顔を見て、吉桜は口を窄めた。
「…………」
(チーフって…真顔で嘘がつけるんだ…)