第4章 ARASI doesn't know a secret.
チーフ視点
「急に来てもらってすまないな。スケジュールの隙間はココしかなかった」
話し始めると、五人は私の方に向く。
M「俺たち五人って、本当に五人なんですね」
周りを見回して、スタッフやカメラを探す松本。
「ああ。ここがどこかわかるか?」
S「〝クカニロコ〟ですよね」
「そう。精霊が住む聖地『クカニロコ』だ」
N「はい!ここで何するんですか?」
「この奥に一番大きな聖跡がある。そこに行き。15年間の守護のお礼と新たな導きを貰ってくるように」
A「チーフは来ないの?」
「行かない。いけない…この先は王族に属さない者は入れない聖域…」
S「…………」
M「俺たち王族じゃないし、日本人だよ?いいの?」
「大丈夫だ。ちゃんと許可を貰っている…」
A「撮影は?」
N「どう見ても。ないでしょ?」
両手を広げる二宮。
N「望遠カメラかヘリでも飛ばさないと、撮影できませんよ」
A「そうだねー」
「ドールの撮影の時間まであまりない。ほら、さっさと行く!!」
このままだと、ウダウダで時間が過ぎていくと感じたので、五人を追いやるように、奥に誘導する。
N「大野さん…今がチャンスです」
二宮が大野の背中をグイグイ押すのが見える。
O「あ…あの…」
大野が近づいてくる。
「ん。なんだ?」
O「昨日は…その、わがまま言ってすみませんでした」
頭を今度はキチンと下げる大野。
「いいよ…あれはイレギュラーだ…仕方がない事…
大野がハワイに来てくれただけで、もうその話は終わりだ」
丸めた背中をポンポンと叩く。
S「あ、僕もチーフに謝らなきゃ…」
「櫻井はいい。お前にはかなり、きついスケジュールを組んでいる。謝るのはこっちの方だ」
S「でも…」
M「チーフが言っているんだから、そうゆう事だよ」
A「そうそう!!」
N「じゃ、さっさと行きましょ?」
「場所はいけばわかる…」
歩き出した五人の背中を見送る。
その後ろ姿は、線の細い高校生から、立派な大人になっていた。