第32章 兄を 兄に 弟が 弟の
相葉視点
カズがソッポを向いたまま反応がない。
(俺の言葉じゃ、伝わらないのなかなぁ…)
ちょっとだけ気持ちが沈む。
O「心配するな!和也は可愛いぞ!!」
大ちゃんがカズのほっぺを両手で揉み上げて口がタコ口にする。
(ぷっ!変な顔!!)
N「…や…やめでぐだざいよぉ…」
タコ口から零れるような声で言うカズ。
O「和也。そんなに怒らな~い。
和也が『かわいい』のは、みんな知ってる。自信もっていいよ♡」
ニコニコ笑っている大ちゃん。
S「そうそう。和也は可愛いよ♡」
翔ちゃんも笑顔でカズの頭を撫ぜている。
(二人は、本当に優しい兄貴だ…俺も兄貴なのに…)
S「和也が和也の能力や価値などを分かって周囲と区別された自分についての意識を持ってる“自己意識が高い”って言いたかったんだよ。
ね。雅紀」
翔ちゃんが俺の方を向いて笑った。
「う。うん!!
そうぉ(それが)言いたかったの!!自己意識が高いねって!!」
翔ちゃんにもらった言葉を口にした。
(そう。この言葉だよ。
カズは、まだ中学生だったあの頃から、自分自身についての意識?自我っていうのかな?強いよ。
羨ましいくらい…
自信って自分の成長、出した成果、結果を受け入れ土台を強くすることだよね
強すぎるように見えるから『自信過剰』って言われるかもだけど、
俺たちの世界でそれくらいの『自信』が無いとやっていけない…)
N「じゅうざんがぞう言うなら、ぞう言う事にしてあげまず…」
膨れた頬のままで、何回も頷くカズ。
「えーなんで、俺のじゃ信じてくれないのよ!!」
大ちゃんの手を跳ね除け、カズの顔を見下ろした。
N「バカなあなたに言われるは、ちょっとね…」
ぐっと押し返すカズ。
「俺はバカじゃないし!カズは『か・わ・い・い』!」
思った事を大きな声に出した。
(これで、どうだ! 俺の言葉がちゃんと伝わったろ!!)
一生懸命目を見開いて、カズを見降ろす。
N「あなた。バカですよ
誰が、男30超えが自分の事『可愛い』と本気で思ってるわけないでしょ?」
少し涙目のカズが言う。
(あ……)
N「良い加減に してくれません?」
俺の胸にグーを強く押し付ける。
(ごめん。みんなの前で変な事言ったね…)