第32章 兄を 兄に 弟が 弟の
二宮視点
(翔さんの先生…おわったのかなぁ)
体がドンドン重くなっていく。
ふっとマー君の『自信過剰』と言った事を思い出した。
「私がうぬぼれてるって事ですか?」
モヤモヤしたから、感情をそのままマー君に伝える。
A「俺は、潤ちゃんの言葉について、言っただけで…」
直ぐにマー君が返事をくれた。
「へー、でもよく。Jの言葉に直ぐ反応できたね?
心のどっかで、思っているんだろぉ…」
(即答するのも、気に入らない…)
プイッと顔を背け、目を閉じる。
A「カズは肌だって…白くて… …… 」
あたふたしている声で言葉を絞り出すマー君。
(もう マー君の声が遠いよぉ…全然聞こえないぃ…)
いきなり、両頬に衝撃が来る。
(や!なに!!)
痛くない位の強さで、グイグイ抑えられ唇が突き出てしまう。
O「心配するな!和也は可愛いぞ!!」
声を聞いて、その手の主が智さんだと、わかる。
(やめて!これじゃ、しゃべれない)
「…や…やめでぐだざいよぉ…」
うまく声にならない。
O「和也。そんなに怒らな~い
和也が『かわいい』のは、みんな知ってる。自信もっていいよ♡」
お酒の入った智さんは、いつも以上にフワフワした顔をしている。
S「そうそう。和也は可愛いよ♡」
正面から翔さんが頭を撫ぜてくる。
S「和也が和也の能力や価値などを分かって周囲と区別された自分についての意識を持ってる“自己意識が高い”って言いたかったんだよ。
ね。雅紀」
翔さんの声がはっきり聞こえてきた。
A「う。うん!!
そう言いたかったの!!自己意識が高いねって!!」
大きく頷くマー君。
「じゅうざんがぞう言うなら、ぞう言う事にしてあげまず…」
膨れた頬のままで、何回も頷いて認識したことを伝える。
A「えーなんで、俺のじゃ信じてくれないのよ!!」
俺に覆いかぶさるマー君。
「バカなあなたに言われるは、ちょっとね…」
ぐっとマー君を押し返すと、智さんと翔さんがニコニコ笑っていた。
(なに。二人とも?そんな顔されると、恥ずかしい!!)
A「俺はバカじゃないし!カズは『か・わ・い・い』!」
大きな声を上げるマー君。
(は……なに?
マー君?ここ…みんないるんだよ…)