第1章 嵐がハワイに上陸
二宮視点
空港の通用口から大野さんが出てきた。
(はぁ…来た…)
小さく息を吐く。
A「大ちゃんだ!!」
相葉さんが大野さんの姿を見つけて叫んで立ち上がる。
窓に額をくっつけ、今にも泣きそうな顔でガン見している。
(そんな顔しないでよ…わかるけどさ…)
真っ直ぐ車に近づいてくる大野さん。
その手には何も持っていない。
(昨日の服装のまま… 家には帰らせなかったんだな…)
「手ぶらで来ましたね…」
相葉さんの肩を触って、ドアの取っ手の方に移動する。
感覚として、昨日の夜。
日本を出るときの事件の所為で、大幅に段取りが狂った俺たち。
(折角のアニバーサリーイベントを現地集合なんて、寂しいよ。
でも、許します。
ちゃんと、あなたは来た。
信じてましたよ…我らのリーダー…)
「やっと来ましたね…」
タイミングを取って車のスライドを少し開ける。
大野さんが何も言わず立っていた。
(もう)「早くどうぞ…」
動きそうになかったから、手招きする。
大野さんは無言で車の中に入ってきた。
A「一人で大丈夫だった?」
相葉さんが恐る恐る声を掛けている。
O「ぅん…大丈夫…」
小さく返事をした大野さん。
(なに話していいか、わかんないんでしょ?)
いつもなら、キツイ言葉をお見舞いしてやるけど、今にも泣きそうな人がいるから、今はしない。
M「煮詰まってるの?」
松潤が心配そうに声をかけている。
O「うん…」
下を向く大野さん。
(メール読んでくれているようですね…)
M「じゃ、絵の事は置いといて!コンサートに集中しよう!!
良いもの出来そうなんだ!」
松潤が、笑顔で言う。
「手ごたえを感じてるんですね?」
(今は話を逸らそう…)
M「うん!すごく!下見した時から、イメージ沸きまくり!!」
松潤が生き生きしている。
(ほら、こんな生き生きしている潤くんに、いらない情報を渡す必要はありません)