第26章 伝える 留める
(あった!)
冷蔵庫の横の棚にアイスペールが入ってあった。
「ヘビーだよ…
ニノがさ『話すな』って言うから、俺もこの話触れないようにしてた…」
潤ちゃんにアイスペールと付属のトングを渡す。
M「そうだったんだ。策士様の命令は絶対だもんね」
「うん…(その方がうまくいく…)で、なにするのコレ…」
結構な量の氷を指さす。
M「こんなのあるんだ!」
潤ちゃんが琥珀色の細いボトルをチラッと見せる。
「なにそれ!!」
(お酒?なになに!!)
M「ハワイアンウイスキーだって!犬飼に買ってきてもらったの!」
テーブルに瓶を置く潤ちゃん。
「えーマジで、スゲー!」
ボトルを持ち上げる。
(ウイスキー♡この銘柄知らない♪)
M「これなら、いい感じに酔えるよね?」
「そうだね。
みんなぁー」
キッチンから急いでテーブルに走って行く。
N「やかましい!!何事ですか!!」
大きな声を出して立ち上がったカズ。
その顔はご機嫌な顔だった。
(あ。天邪鬼状態だ♡)
「みてみて!潤ちゃんがウィスキー買ってきてくれたって!!」
ボトルをテーブルの真ん中に置く。
S「なになに?何もってきたの?」
O「な~に~?」
翔ちゃんと大ちゃんが肩を組んで笑っている。
(二人が笑ってる…飲むぞ!!)
N「マー君?これ…どこから手に入れたの?」
さっきの天邪鬼はナリを潜めたカズが話しかけてきた。
「潤ちゃんが、自腹でお酒買って来たんだって!!」
N「自腹?」
ボトルに手を伸ばすカズ。
「パンオロって、どんな味かな?潤ちゃんは知ってる?」
ラベルを指さす。
M「おしい!パニオロって読むんだよ」
「パニオロぉ?あ…‘I’があるね…」
カズからボトルを取るって確認する。
N「アイバカさんは、ピーエーエヌって書いてたら“パン”になるんの?」
ニヤニヤ笑ってパスタを食べているカズ。
「あー!また!俺の事バカって言った!!」
(バカバカ言われると、ホントにバカになりそうだよ。
カズの‘言葉’ってたまに、変な力で引っ張られるんだよね…)