第3章 それぞれ歩幅を…
大野視点
ぼんやり話をしている翔くんの顔を見ている。
(画伯かぁ……)
絵を描いている時の翔くんオリジナルの呼び方…
前回の個展の時、誰よりも喜んでくれた翔くん。
会見まで付いてきて来てくれた。
影が忍び寄っていたあの頃を、乗り越えてたのは、翔くんのおかげ…
だから、おいら……絵が、心の支え…
描きたい時に描いていた絵。
描きあがった時の達成感や、披露する時のドキドキ感。
プレゼントの時は、描いている時から、
あげる相手の反応が楽しみで、笑ってしまうくらい順調で、
たくさんの作品ができた。
「また個展するから準備して!」と事務所からの指令
描きたいモノから、描かなきゃいけないモノになった瞬間
描けなくなった。
描いても描いても、全然輝かない…
おいらの周りに、彩りが無くなった。
(体が重い…)
それでも目の前に仕事が来る
(事務所的にはいいことだろう…)
嵐の知名度が安定している証拠だ
頑張らないと!約束したんだ。
『みんなで“てっぺん”に立って、理不尽なモノから自分たちを守るために!!』
(苦しい…前がみえない…)
絡み合った 太いしがらみに体を固定されて
甘い誘惑の細い糸に 首を絞められ
イメージという足かせが 両足に食い込む
(身動きがとれない)
助けて ・・・・
助けてよぉ・・・・ ・・ゃん