第21章 一人語る
相葉視点
(勢いで、奪ってしまった…なにか言わなきゃ…)
「潤ちゃん、全部飲んじゃダメだよ。俺も飲んでみたいぃ」
変なことを口走って潤ちゃんから奪ったグラスのビールを一口飲んだ。
一口飲んだでびっくりした。
「ほんとだ!これうまい!!」
大ちゃんが『ね♪』って顔をした。
「やっぱビールは〝ラガー〟だね♪」
大ちゃんに笑顔を返したら、翔ちゃんがご機嫌な顔で話に入ってきた。
S「お!さすが。
ビールのCMされてる方は違いが分かるんですね」
「え?違い…」(CM?なんの話?)
N「おやぁ?適当発言でしたかぁ」
たぶん、ポケッとした顔をしていたんだろう、ニノがニヤッと笑ってツッコミを入れてきた。
(また。俺の事バカにして…)
「ビールは“ラガー”って言う事が多いじゃん!
だから、ハワイのラガーは、日本のラガーと似てるんじゃない?」
言いながら、発言に自信が無くなってきた。
N「名前?そこ?」
カズもオレの返答が、思ったのと違ったのか『ええ?』みたいな顔で顔を寄せる。
「たぶん…違うかな?」
(カズにそんな顔されると、もっと心配…)
S「あながち間違ってないよ!!」
翔ちゃんが人差し指を立ててながら口角を上げる。
「ホント?」
S「ビールって、ほら麒麟の工場で聞いたじゃん
日本で製造販売ビールはほぼラガーだって…」
M「ああ…工場の時の話?」
潤ちゃんが相槌を打つ。
S「そうそう…」
翔ちゃんが得意げな顔をする。
(よかった。間違った事は言ってなかったんだ…
ほら!カズ俺ってバカじゃなぁ…ぃ?)
得意げになろうと思ってカズを見ると、とても冷たい目で潤ちゃんの方を見ていた。
(え?なに?)
潤ちゃんの方をみると、潤ちゃんは口をぱくぱくさせながら何かカズに言っている。
カズは何回かうなずいて、はぁっとため息をついた。
(なにが『はぁ』なの?)
言葉にしないで見ていると、カズが俺の視線に気が付いて、顎をクイッと動かした。
顎の向いた方を確認すると、一人で語っている翔ちゃんが居た。
(あぁぁ………長くなりそう…)
カズに視線を戻すと『ねぇ』っと苦笑した。
(翔ちゃん…生き生きしてるね
よく『説明すると疲れる』ってよく言うけど…
聞いてるこっちも、疲れるんだよ…)