第18章 五人で前々夜祭
二宮視点
何も言葉にしないで状況を観察している潤くん。
言葉を探して、見つからないマー君。
(まさかこのタイミングだと思ってなかったので、正直。返答に困ります。
いつもの‘ニノ’で返すか、素の“和也”で行くべきか…
それに、翔さんには、この事伝えてませんよ?
説明しないと、また、変に勘ぐるよ?)
S「……」
目だけで俺たちを確認している翔さん。
(ほら、目が不安いっぱいで動いている…)
押し黙ってしまった智さん。
(不安…わかります。でも……)
「…ここに居るよ。みんな居る…ね…」
(顔あげて…)
O「うん…」
智さんが顔を上げる。
(まだ、不安そうな目をしている…)
智さん口が小さく動いた。声になっていない。
{『弱くてごめん』だそうだ…}
理解者が通訳してくれた。
「それで(あなたは)いいんです。私は、大丈夫ですよ」
そっと肩に手を置いて“智”に直接言葉を送る。
≪確かに、あんたは弱くなった。
でも『弱い』から、みんなが一緒にいれる。
今のアナタにとって翔さんの“彼女事”が一番 堪(こた)えることでしょ?
“彼女”に取られるのが怖いんだよね。
でも、翔さんはちゃんと帰ってきた。
俺たちの翔ちゃんはここに居る!
この、幸せな時間が続く為には、離れなければいけない時間がある。
信じましょう。
どんなに離れていても、心がつながっている事を…≫
俺の“声”がとどいたのか《頼ってごめん》の“声”と小さく頭を動かしてくれた。