第9章 特別製の舞台
大野視点
M「とりあえず、俺 あがってみるね」
松潤が率先して、台の上に乗る。
周りにいつものスタッフと現地のスタッフが来る。
M「じゃ、よろしく」
スタッフに合図をすると、ゆっくり台が上がって行く。
その一連の動きを翔くんが、怖いくらいな目で見つめてる。
(翔くん…やっぱり、君はみんなの事を守ってる…)
松潤を乗せた台はスーっと下りていく。
松潤は降りると翔くんの所に走って行く。
M「翔さん 次、行く?」
S「…松潤くらいのスピードで、上に上がってみたい」
M「いいよ」
(Jr.の時から変わらない、二人の会話…)
二人はすっかり大人になっているのに、目の前の動きは、十代の二人。
スタッフ「何秒でせり上げかな?」
スタッフ「こっちのスタッフの呼吸が合うかな?」
スタッフ「俺らが頑張らないと事故になるね…」
(事故…ケガ…)
『さとしくーーん』翔くんの切羽詰まった声と物凄い衝撃を思い出す。
N「大野さん?」
ニノが声を掛けてきた。
「ん…なんでもない…」
(ニノはなぜ、感情が揺れている時、声を掛けてくるんだろう…)
S「じゃ…I'm slowly, too.」
スタッフ「Yes」
翔くんが周りのスタッフと英語で話している。
S「Tree, two, one, go!」
翔くんが乗った台がスムーズに上がって行く。
姿が見えなくなった瞬間“何とも言えない”不安が体を走る。
「松潤…」
M「なに?」
松潤が返事をして、自分が何を言いたのか、わからなくなった。
ん? と眉間にシワを寄せる松潤。
(何か言わなきゃ…)
「練習時間あるの?」
M「好きなだけって訳じゃないけど、それなりに時間は取れると思うよ…」
「………」
(どうしよう、言葉がうまく出ない…)
M「リーダー?何考えてるの?」
松潤が心配そうな声が聞いてきた。
N「潤くん、ちょっといい?」
ニノと松潤が話し始める。