【イケメン戦国】 戦国武将へのサプライズ<R18>
第9章 ~家康~
家康「なおは?」
通りすがりの女中に聞くと、
女中「先程城下から戻られ、今はお部屋にいらっしゃると思います」
と軽く頭を下げる。
(今朝のあれ、絶対見てたはず)
家康はなおの部屋へと廊下を進む。
すると、丁度なおの部屋から女中頭が出てくるところだった。
家康「なおは・・・」
女中頭「お休みになってらっしゃいます」
家康「え・・・」
部屋へ入ろうとする家康と襖の間に立ち塞がる。
女中頭「ご気分が優れないとおっしゃってましたので、今は休ませて差し上げたらいかがでしょう」
表情を変えず家康に進言する。
家康「顔が見たい。話もある」
女中頭「明日にされたらどうですか」
家康「明日は朝から軍議があり、信長様の元へ参上する。状況次第では数日戻らないかもしれない」
襖に手をかけようとする家康を、
女中頭「なら、お帰りになってから会いにいらしてください。なお様はやっと今眠られたところです。お願いいたします、顔色も優れませんでしたので、今日の所はどうか・・・」
家康の連れてきた姫君だから、と言う事だけでなく、なおはここの皆に慕われている。
甲斐甲斐しく働く姿、家康だけでなく周りの皆に気を配るなおに、自然と誰もが惹かれていた。
家康「わかった」
背を向けると、その場を後にする。
どうしても、今、顔が見たかった。声が聴きたかった。
後でもう一度訪ねようか・・・
姿が見えなくなるのを見届けてから、女中頭がもう一度襖越しに声をかける。
女中頭「なお様」
「ありがとう。でも、今はちょっと・・・」
まだ、家康には・・・
女中頭「分かっております。兎に角、今はゆっくりお休みください。後で軽いお食事をお持ちします」
それだけ告げると、部屋の前から下がった。
「家康・・・」
障子が夕日に照らされて、朱い光が部屋に差し込む。
締め付けられる胸に手を当て、きつく目を瞑る。
不安に押し潰されそうで、その身を隠すように、頭まで布団を被った。