【イケメン戦国】 戦国武将へのサプライズ<R18>
第9章 ~家康~
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佐助「徳川家康は弓や剣、馬や水術まで一流だったそうで・・・」
口ぶりこそ淡々としているものの、僅かに鼻息を荒くし、尊敬する戦国武将について語る。
(ホントに好きなんだな)
温かなお茶を一口飲み、微笑みながら耳を傾ける。
家康と暮らすようになってから、なおの部屋に佐助が忍び込む回数は依然と比べて格段に増えた。
今日もこうして、現代人同士のティータイムが繰り広げられている。
佐助「綺麗だね。部屋に花を飾るなんて、今までなかったよね」
花瓶に活けられた花を見遣ると、
「うん。 あれは家康から貰ったから」
はにかむ様な笑顔を見せるなお。
庭に咲いた花が風に揺れ、運ばれるほのかな香り。
庭先でいつまでも景色を眺めているなおに、
家康「飾れば」
そっけなく手渡された花束。
見ると、なおが好きな花ばかり束ねられていた。
佐助「徳川家康から花・・・」
なおに羨望の眼差しを向ける。
佐助「家康は香道も嗜んでたようだけど、花にも興味があったのかな」
新たな発見に目を輝かせる。
佐助「俺がここへタイムスリップしてから数年、歴史と食い違う部分を多く見てきた。だから、俺の知る徳川家康と、なおさんの彼氏の家康さんは、やっぱりどこか違うのかもしれない」
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なおは一人、とぼとぼと城下を歩いていた。
先程見た光景が、振り払ってもすぐに頭に浮かぶ。
きっとこの先もこういうことはあるのだろう。
家康が選ぶ女は自分一人だと、なぜ思っていたのだろう。
ここは戦国時代で、相手は武将。
(女の人、たくさん娶るよね。政略的なものあったり、さっきみたいなのも・・・)
鬱々とした表情で歩くなおを、いつもと変わらぬ市の喧騒が包む。
織物や食器、化粧品、菓子や美味しそうな食べ物。
普段なら目を輝かせて歩き回るなおだったが、今日はそんな気になれない。
男「そこの可愛いお嬢さん、一つどうだい!」
目の前に差し出された田楽。
「いえ・・・結構です・・・っ」
胸からこみ上げ、喉が焼けるように締め付けられる。
こぼれそうな涙をのみ込み、その場にしゃがみ込んだ。