【イケメン戦国】 戦国武将へのサプライズ<R18>
第1章 ~幸村~
「おまたせ、幸村」
声のする方へ顔を向けると、浴衣姿に手拭いを抱えたなおが立っていた。
幸村「お前・・・なんだよその恰好」
「どう、似合うかな?今日のために縫ったの」
その場でくるりと一周回って見せる。
幸村「お前は浴衣着たまま湯に浸かるのかよ」
「え? 私は入らないよ」
幸村「はぁ?」
なるべく平らな岩場を選び、数枚の手拭いを重ねて置く。
「幸村、来て。 ・・・ほら、早く」
こちらへと誘うと、手拭いの上へ頭を預けさせる。
「真田さん、本日シャンプー担当させていただきます、なおです」
そう言って、仰向けになった幸村の顔に小さな手拭いをかけた。
幸村「・・・しゃんぷ?」
「失礼しますね」
桶で湯をすくい、そっと額から流す。指を差し入れ髪を梳きながら、また湯をかける。
小さな陶器に入れた液体を掌に取ると、幸村の髪を優しく洗う。
柔らかな指先が、肌を揉むように動く。
幸村(あー・・・気持ち良すぎて、寝ちまいそう・・・)
時間をかけて丁寧に髪を洗い、頭を揉みほぐしてから、またそっと湯で洗い流す。
幸村の腕はだらりと湯に沈み、頭を岩場に預けたまま、声を発することもなかった。
「リンスもあるんだよ、すごいでしょ」
桶に汲んだ湯に、別の容器の中身を少量たらす。手ですくうと、優しく髪に馴染ませる。
「気持ちいい?」
声をかけるが、返答はなかった。
(寝ちゃったのかな)
眠ってしまうほど気持ちよかったのなら本望だ。
嬉しさから思わず笑みがこぼれる。
髪を流し終えると、そっと幸村の肩に手を置いた。
「幸村、終わったよ」
反応がないので、顔にかけていた手拭いをそっと取る。
伏せられた瞼に、長い睫。
不意に、口づけたい衝動に駆られて、なおはゆっくりと顔を近づける。と、
「ぅわっ!!?」
突然手を引かれ、大きな飛沫をあげて湯に落ちた。
「っぷ! ちょっと幸村っ!!」
幸村「俺の寝込みを襲うなんて、500年早ぇよ」
そのままなおを引き寄せると、腰に両腕を回す。
幸村「すげぇ気持ちよかった。ありがとな」
唇が触れそうな程顔を寄せ、幸村が微笑む。
「頭はすっきりだし、眺めは良いし、最高の気分だ」
だが幸村の視線は、周りの景色ではなく、なおの胸元に向けられていた。