【イケメン戦国】 戦国武将へのサプライズ<R18>
第1章 ~幸村~
佐助「なおさんと話がしたいなら誘えばいいのに、強がってるんだ」
「えっ、まさか・・・」
そんなことあるはずないよ、いや間違いないとコソコソやり取りをしつつ、なおと佐助は、二人してそっと謙信の顔を窺う。
訝しげに二人のやり取りを見ていた謙信だったが、
謙信「何を話しているか知らんが・・・恐らく、大筋合っている」
「エッ!?」
佐助「意を決して、さっきなおさんの部屋まで行ったらしいんだ。宴に誘うためにね。そうしたら部屋にはいない、ならば幸村の部屋かと向かう途中、女中さんが君たちの食事を別室に用意しているのを見かけてね」
そちらに自分たちの食事まで運び込ませたということだった。ご丁寧に、なおと幸村の席は離すよう指示して。
佐助「俺たちのようないつもの顔ぶれではなく、戦や政に全く関係ないなおさんがたまに相手してくれたら、いい気分転換になると思う。俺自身もそう感じているし、疲れも忘れられる」
謙信「俺に息抜きは必要ないし、俺は疲れてなどいない」
佐助「でもなおさんを誘いたそうにしてましたよね?」
謙信「たまにこの間の抜けた顔が見たくなる時がある。すべてが馬鹿馬鹿しくなるような、能天気な女の顔が。それだけだ」
「間の抜けた・・・」
佐助「だからなおさん、今度謙信様とお茶でもしてあげて欲しい」
「それは構わないけど・・・何して過ごしたら・・・」
あれこれ思考を巡らせるも、無表情の二人が無言でお茶をすする光景しか浮かばず、非常に気まずい。
「・・・あ」
謙信・佐助「?」
「謙信様、あの、恐れ多いんですが・・・囲碁などいかがでしょう」
謙信「ほう、お前は囲碁が打てるのか」
「いえ、あの・・・覚えて本当に間もないので、相手にならないと思うんですが」
佐助「もしかして、安土で覚えたとか?」
「うん」
謙信「誰に習った」
「信長様と、三成君に・・・です。でも本当に弱いですよ。それでよろしければ」
佐助「すごい・・・! なおさん、俺と今度勝負し」
謙信「駄目だ」
眼鏡の奥で瞳を輝かせる佐助を横へ押しやり、謙信はなおを見据える。
謙信「では俺と勝負しろ、なお。日取りは追って伝える」