【イケメン戦国】 戦国武将へのサプライズ<R18>
第3章 ~信長~
信長が帰城してから数日が経った、ある日の事。
女中「なお様、いらっしゃいますか」
襖の向こうから、遠慮がちな声が聞こえてきた。
「はい」
縫物の手を止めて、返事をする。
女中「信長様がお呼びです・・・」
「わかりました」
なおは裁縫道具を手早く片づけると、しゃもじを握りしめ、部屋を後にした。
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調理台を挟み、なおと信長が対峙する。
(おかしい・・・こんなはずじゃ・・・)
なおのこめかみから、顎へと一筋の汗が流れた。
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信長「たっきゅう?」
「はい。私のいた時代では、広く楽しまれていたスポ・・・ 運動です」
信長「ほう・・・」
渡された大きめのしゃもじを、しげしげと見つめる。
「真ん中の線の、そちら側が信長様の陣地です。こちら側は私。ちょっと練習してみましょうか」
なおは袂(たもと)から小さな毬(まり)を取り出すと、簡単に説明をしてから打ち始める。
信長「成程、大筋理解した」
「では始めましょうか」
信長「いざ、尋常に」
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広間には、息を切らし汗を流すなおと、涼しげな顔で淡々と毬を打ち返す信長の姿があった。
(戦国武将を侮っていた・・・初心者なのに・・・!)
身体能力が元々高いのか、説明を聞き、数度練習しただけで要領を得た信長は、ゲーム後半にはなおを巻き返すほどの腕になっていた。
(それに、目がすごく良いみたい)
毬の表面に施された刺繍のおかげで、回転がかかっている事はわかり安くはあるものの、的確に打ち返してくる信長に、正直なおの方が翻弄されていた。
何より・・・
「信長様!」
調理台に手をつくと、信長を軽く睨みつけるようにして、
「手加減しないでくださいっ!」
信長「俺は手加減などしていない」
「嘘です!だってさっきからずっと・・・っ」
左右に打ち分け、直毬(キュウ)と変化毬(キュウ)を織り交ぜ挑むなおに対し、信長は、山なりの甘い毬ばかりをなおに返して来るのだ。それも、正面よりやや右の、打ち返しやすい位置に・・・