【イケメン戦国】 戦国武将へのサプライズ<R18>
第2章 ~幸村´(ダッシュ)~
佐助「で、彼氏との温泉旅行はどうだった?」
茶托に湯呑を置き、横にいるなおに尋ねる。
「すっごく楽しかったよ。幸村も本当に喜んでくれたし」
幸村と温泉へと出かけてから数日後。
結果を報告するためになおは佐助の部屋を訪ねたのだが、今日は天気がいいからと、庭に面した縁側に並んで腰を下ろすことにした。
佐助「うまくいってよかった」
「佐助君のおかげだよ。大変な思いさせちゃったけど、でも、本当にありがとう」
そう言って、深々と頭を下げた。
佐助「俺は俺で楽しかった。色々な発見もあったし」
疲れている幸村にゆっくり休んでもらいたい。疲れを癒す定番と言えば・・・温泉。
その点については、信玄がとっておきの隠し湯を使わせてくれることで解決した。
背中を流したり、頭を洗ったりしてあげたいな、でも石鹸が無い・・・
それに食いついたのは佐助だった。
小学生の頃の自由研究で石鹸を手作りし、その際に調べた事柄はまだ頭の中にある。
石鹸が日本に伝えられたのは、確か戦国時代。誰に献上されたかは不明だが、これだけ武将に囲まれていれば、見つけ出せる可能性はある。
けど、簡単に手に入るのでは面白みがない。
この時代にあるもので何とか材料を揃えられれば・・・
忍者業の合間に研究を重ね、簡単な作業はなおにも負担してもらいながら、何とか完成させた。
「裏山で貝殻を焼いたり、木の実を集めたり、楽しかったね」
佐助「謙信様へのおねだりも君がすればよかったと、今でも思う」
「公平にじゃんけんで決めようって言ったのは佐助君じゃない」
謙信への献上品の中に度々見かける、蜂蜜を少々使いたい。なおがねだれば一発だと佐助は言うが、自ら部屋を訪ね、しかも物をねだるというのは気後れする。
仕事ついでに謙信に話すと、あっさり了承した。それも当然だ、なおの影をちらつかせたのだから。
後日佐助の元に届いた、高級感の漂う、女性受けしそうな二つの器。一つには蜂蜜が、そして対になったもう一方には香油が入っていた。
蓋を取り、恐る恐る顔を近付ける。
「く・・・っ 甘」
鼻の奥の粘膜を焼くような、強い香りだった。