第1章 出会い
彼と私は沈黙してしまった
その沈黙中に
私は自分のしようとしていた事を
忘れそうになっていた
そうだ!
こんな事をしている時ではない
私は思い出したように
彼に背中を向けて
この世から別れようとした時だった
横山「なら、しばらくの間は
俺の所に来るか?」
その言葉が私の耳に入り
私の動きは止まった
「・・・・・・・」
私は動けずに足元に流れている
暗い水を見ていた
横山「死ぬんやったら
俺の所に来て
仕事を見付けたらええやん?」
彼は優しい声で言った
私は彼の方に顔を向けて聞いてみた
「いいの?」
私の不安そうな言葉に
彼は笑いながら言った
横山「ここで
アンタを発見したのも
何かの縁やろし・・・
仕事が見つかって
生活できるまでな」
そう彼は照れ臭そうに
言うと歩き出した
私がそれを黙って見ていると
道路わきに止めていた車に行き
横山「来んのか?」
そう私に向かって叫んだのだ
私はその声を聞いて
急いで橋の上から降りると
彼の元に走ったのだ
彼は無言で私を車に乗せると
自分の家に連れて行くために車を走らせた