第2章 悲劇
太宰に向き直った芥川は彼の目をまっすぐに見つめた。
「僕らの生きる意味を、与えられるか?」
「約束しよう」
芥川の身体が小刻みに震え出した。
畏れではない。恐怖でもない。また、怒りでもない。
感動しているのだろうか。
初めてもつ“師”という存在に。
「返答は?」
太宰が聞いた。
芥川が雄叫びをあげる。
太宰はそれを聞いて大きく頷いた。
「良い返事だ」
「それじゃ、これからよろしくね。芥川くんとー…?」
もう、芥川が止めることはなかった。
「乾くるみです。よろしくお願いします!」
「そっか。良い名前だね。気に入ったよ、くるみちゃん。」
太宰はくるみを見て、目を細めた。