第2章 キャスト決定!
さて、被服室にやってきたわけですか……
二「すごいね、これ作ったんだ…
じゃあ、俺の破いたジャージなんて、余裕だね。」
黒「こんな細かいのも、手でやるんだ。
そういう器用な子、好きだなぁ…」
なんなんですか!この状況!
それなりのことを言ってくれそうとは言ったけど…
ただただ口説いてるだけじゃないですか!
うっとりとした表情の女生徒たちと、
明らかに嘘ですって顔に書いてるけど、
すっごい爽やかな笑顔の二口君と黒尾先輩。
もう、これは才能だ。
そろそろ本題に入ってもらえますか!と口パクすると、
一瞬だけ視線をよこして
黒「俺らさ、用があってきたんだよ
いらない布でいいんだけどさ、
空気通すくらいで、そんなに破けない布とかない?」
二「なんでしたっけ、タイツ的なってそらは言ってましたね。」
私の名前を出さないで!
一斉に私の顔を睨みつけるから!
黒「あの子バカだからさ、グラス割っちゃったんだよねー」
二「ほんと、ありえないですよねー」
困った困ったというけれど、絶対内心バカにしてる。
「そうなんだー。あの子のために、大変だねー」
「二口君の為に、探してくるよ!」
「部活終わったら、遊びにおいでよー!
おかしつくってるから、ね!」
キャーキャー言ってるけど……
別にね、別に?
黒尾先輩がモテようが、二口君がキャーキャー言われようが
いいんだけどね?
うん、早くしないと京治君たち困らせちゃうからさ。
そら「すいません。他の部員が待っているので、
布をいただけませんか?」
あくまで淡々と、にこやかに。
ムスッとした顔を私に向けて、
キッと睨みつける。
入ってこないでよ、今楽しいんだから。
なんて幻聴が聞こえそう。
黒「まぁまぁ、布もらうために来たしなぁ。」
笑いながら言うと、
棚から布を取り出して、
黒「これ、もらってもいい?」
黒尾先輩が聞くと、コクコクとうなずき返す。
二「それじゃ、行きますか。
またね、センパイ。」
軽く手を振りながら、被服室を出ようとする
2人を急いで追いかける。
出るときに、小さく頭を下げて部屋を出た。