第2章 キャスト決定!
そら「そういえば、まだ来てない先輩もいるよね?
何か知らない?」
赤「あぁ。多分1年生に教えてるんだよ。
機材とかの使い方なり、置き場所なり。」
あぁ〜、と納得し、麦茶を注ぐ。
季節は5月中旬。
雨のせいで寒いと思えば、
特有のあのぬるい風が心地いいとも思える微妙な季節。
お盆にコップを乗せてそろそろと歩く。
給湯室から出ると、
「バカッ!田中、ノヤ、止まれ!」
誰かの声が響いて、誰かが私の名前を呼ぶ。
スローモーションにでも見えるように、
コップが飛ぶ。
そして誰かが私の手を引いたところで、
ガチャン!!
そら「あーあ、割れちゃった。」
屈んで、大きめの破片だけでも拾おうとした手を後ろから掴まれる。
赤「いいよ、俺がやる。そらは危ないからいいよ」
でも、と言葉を続けようとすると、
人差し指が、唇を軽く押す。
赤「そらも女の子なんだから。
新聞紙を持ってきてくれればうれしいかな」
うんっ!と大きく頷いて、
溜まりに溜まった新聞紙をいくらか取る。
雑巾と、掃除機と、タイツ的なものをさがす。
そら「龍くんも、夕くんも、探してくれるよね?
うん、ありがとぉう。」
なんだか自然と口角が上がり、お盆を持つ手に力が入った。
はいっ!といって掃除機を取りに行く。
そら「私、被服室からいらない布もらってくる。
縁下くん、青根くん、悪いんだけど、
京治くんのこと、手伝ってもらってもいい?」
2人とも頷くと、機材の持ち運びに使う軍手を持って行った。
二「俺はー?何もしなくていっか、ラッキー」
そら「いやー2年生同士の連携って大切だよねー、二口君。
だからさ、一緒に来てくれるよね??」
青根君がこっち向いて、うんうんと頷く。
それを見た二口君はため息をついて、
仕方ない、と全身で表して、
こちらに歩いてきた。