第2章 キャスト決定!
みんな、黙々と台本を手にして読んでいる。
普段はうるさい2人も、茶々を入れる先輩も、
普段は見せない真剣な表情が見える。
一年生も少しだけソワソワしながら、
興味深そうに台本を読み進める。
細かい字をずっとみていると、
目が疲れる。
時々感じていた視線の方を向く。
彼と目があう。
〇〇〇〇君、ダメだよ。
口だけ動かして、注意を施す。
一瞬、本当に目を瞬かせる間くらいの短い時間。
表情に驚きが見えた。
でもすぐに表情を変えて、台本に目を戻す。
本当に役者さんだなぁ…
なんてどうでもいいことを考えて、
それを切り捨てる。
私も、ちゃんと確認しなきゃ。
この娘は私が作るんだ。