第5章 キミのために出来る事全て（東堂尽八＊夢）完結

「布施！おはよう！
今日も練習見に来るんだろう？
オレの走りをシッカリ見ていろ！」

毎朝毎朝、東堂は爽やかな
笑顔を振りまいて人のクラスに
乗り込んでくる
その度に廊下やら
教室の中やら彼方此方から
痛い位の視線が突き刺さる

『あのね、私は靖友を
見に行くだけだから！
東堂にはファンがイッパイ
居るでしょうが！』

声援なら余るくらい貰えるじゃない？
だから今の位置から踏み込んでこないで

「オレは布施にも
応援して欲しいのだが？
ダメなのか？」

そんな無邪気な笑顔で
セリフで無駄にときめかさないで
その他大勢に混ざる
声援なんて送りたくない
誰に向けてるかわからない
笑顔なんか見たくない

『バカじゃないの？他をあたってよ
ホラ！チャイム鳴るよ！
帰った帰ったー！』

そんな事を考えてしまう
私に気づかれたら
きっと東堂は私を重いと
感じてしまう
バレない為には私から距離を
置いてしまえばいい
だから私は今日も東堂を
冷たくあしらうしかなかった

「ム…っ！まぁ良い！
今日こそオレの走りでお前の目を
俺に釘付けにしてやろう！」

大きな声で言い放ち去っていく
東堂にため息が漏れる

本当バカじゃないの？
そんなのとっくになってるよ。