第5章 キミのために出来る事全て（東堂尽八＊夢）完結

姫凪side

私は辛いのが嫌いだ
だからなるべく
傷つかない道を選びたいし
不毛な望みは持たない事にしてる

踏み込まなければ
辛い結末なんか来ない
だからお願い
不用意に入ってこないで

幼馴染の靖友が野球をやめて
箱学に行くって言ったから
私も行く事にした
荒れてた靖友の事も気になったし
なにより気心の知れた
靖友が居る所は私にとって
楽な場所だったから

一時は学校を辞めると
漏らしてた靖友が
自転車競技部に入って
見違えるようにイキイキしだした　

靖友を変えた自転車に
興味が湧いて練習を見に行った
あの日
サラサラの髪の毛を
揺らして走る東堂を見た
その走る姿はとても美しくて
東堂の周りだけ音が
消えてしまったんじゃないかと
いうくらいに静かだった　　

正直目を奪われた
靖友に紹介して貰おうかとか
考えてた時
東堂の周りに群がるファンと
それに笑顔で答える東堂を
目の当たりにした

私のココロが警鐘を鳴らす
東堂を好きになったらダメだ、と。
傷つくのは目に見えてる

きっと東堂は誰にでも優しい
私にだって優しくは
してくれるだろう
そう、その他と同じに。
平等に。
でも私が東堂を
好きになってしまったら
きっと私は東堂に
その平等の優しさ以上を求めてしまう
だから私は東堂とは距離を
置いて付き合っていくつもりだった

それなのに。