第51章 ♡陽だまりの粒（岩泉一）完結

少し期待してた
もしかしたら
はじめちゃんが
追いかけて来てくれるんじゃないかって

でも…

私の背中に声がぶつかる事はなかった

朝練が終わる時間になっても
昼休みが始まっても
はじめちゃんが
私のクラスに顔を出す事はなくて
私もはじめちゃんのクラスに
行く事は出来なくて

そのまま放課後になってしまった

バレー部に顔を出そうか
でも、朝練の時みたいに
虚しい想いはしたくない

進みかけた足を止めて
校門に向かってると

「姫凪ちゃーん
どうしたのさ？
見に来ないの？」

ジャージに着替えた
及川くんに声をかけられた

『毎日じゃ迷惑かなって
思って…さ。
ほら、朝も邪魔すんなって
はじめちゃん怒ってたし』

無理に作った笑顔で
なるべく冷静に返す言葉
だけど胸はズキズキ痛くて
たまらない

「へ？あれは姫凪ちゃんに
言ったんじゃなくない？
てゆっか、あれだけ毎日来て
イチャついてたのに
よく言うよ！
ほら、行こう？
岩ちゃんも待ってるよー！」