第51章 ♡陽だまりの粒（岩泉一）完結

取られた手
爽やかな笑顔
"待ってる"その言葉を
否定したくなくて
体育館へ足を戻した…けど
はじめちゃんには

「クソ川！遅え！！
主将が一番先に入れ、ボケェ！」

「ごめんごめん！
チョット野暮用だったの！
てゆっか感謝されても
良いと思うんだけどな、及川さんは
岩ちゃんの元気の素を
連れてきてあげたんだからさ～」

「…オンナ探して遅れたとか
感謝どころかゲンコツじゃ
足んねぇぞ
つまんねぇ事言ってねぇで
サッサと入れ
セッター影山と交代させんぞ」

「なんでだよ！
それはダメでしょ！
飛雄も何とか言いなって」

「岩泉さん、アザッス！
セッターやりたいス！」

「そうじゃない！！」

私の存在が
まるで見えてないみたいだ。

コートに走って行く
及川くんを見送り
一応体育館の隅で
少しの間、練習を
見学してたけど　
一度も流れて来ない視線

花巻が心配そうに
見つめる視線も痛くて
ソッと体育館から逃げ出した

やっぱり
あの子達が言った通り
私の自惚れだったんだ