第51章 ♡陽だまりの粒（岩泉一）完結

明るく笑い
はじめちゃんの
背中を押して手を振る

何してんだろ
本当は忘れてたでしょって
責めたいとか
思ってるのに
良い人ぶっちゃってさ…

でも、私の言葉に
みるみる明るくなる顔を見たら
言えないよ

ヤッパリ行かないで、なんて

頬に落とされたキスに
落ちた気分は上がるけど
コートの中で
生き生きしてる
はじめちゃんに
心の奥がズキッとする

バレーには一生
敵わないんじゃないか、なんてね？

見とれる程カッコイイのに
見たくない程嫉妬する
追われるボールに
キラキラしてる笑顔に
嫌ってくらい
モヤモヤしちゃうよ。

大きく深呼吸して
またコートの中を眺めてると

「布施さん
ちょっと良い？」

朝聞いたあの声

『なに？見てるんだけど…』

「布施さんが見てても
見てなくても
岩泉には関係なくない？
こっちには用事があんの
顔貸してよ」

痛い所をつかれて

『私には無い…から
一緒に戻る約束してるから
ゴメン』

ムッとして冷たく返してしまう