第51章 ♡陽だまりの粒（岩泉一）完結

「今日はなんか機嫌悪いね
朝飯足りてないんじゃない？
パン食べるかい？
見て！コンビニでラスイチだった
及川さんオススメの牛乳パンが
…って！一個とは言ってない！
半分は俺が…」

「ん？食うのか？」

「…はぁ、もう良いよ。
今日購買でパン奢りね
…あれ？あの子！
姫凪ちゃんじゃない？
岩ちゃん！姫凪ちゃん！」

いつもと同じ朝
昨日の汗の匂いがまだ残る
部室のドアを開けようとした
俺の手を及川が止める

振り返ると
スポドリを抱えて
こっちに向かって来る女子の姿

布施 姫凪
中一から同じクラスで
よく試合も見に来てた
家も近いから
度々差し入れ持って
朝練を見に来たりもしてた

及川のガチ勢と違って
騒がねぇし
気も効くし
布施が来るのは
特に迷惑と思った事は無かったけど
ただそれだけ。
別に浮かれることも無い
俺は俺のやる事をやるだけ

それで良いと思ってたし
アイツもそれで良いんだと思ってた