第50章 年下男子はお嫌いデスカ？（二口堅治）完結

「なぁ、なんでこっち見ないわけ？
ソコに居る理由ってナニ？
アンタ、定位置間違ってね？」

低い声は息が出来なくなりそうなくらい
圧があって
自分の声の出し方が
思い出せない

こんな状態で帰っても
また繰り返すだけだと思う

でも、堅治とこのまま
離れるのは…嫌で…
堂々巡りを這い出ようとする私に

「二口、あんまり追い込むなよ
布施さんも二口も
とりあえず店においで？
バータイムだけど特別に
コーヒー入れるからさ
（店の奥の席
開けてあげるから
そこで話したら？
二人きりよりは話しやすいんじゃない？）」

店長さんが小さく声を落とす

『あ、どうも…』

やっと出た声が
堅治との何かを
プツリと切った事にも気付けなかった

「俺は良いッス
ハイ、これ鍵」

低いままなのは変わりないのに
さっきまでの圧はない声

『堅治…あのね…』

「そっちを選ぶなら止めねぇし
追いかけ回したりしねぇから
コーヒーでも酒でも
好きなだけ飲んで帰れば良いﾝじゃん？

…バイバイ布施さん」