第49章 煙の向こう側に笑みを（白布賢二郎）

慌てる俺を見つめてた姫凪が

『えへへっ！ビックリした？！
賢二郎ドキドキした？！』

いつもの幼い笑顔で
明るい笑い声を響かす

「…はぁ！？お前っっ！
ふざけんなよ！？」

『私ばっかドキドキさせられてるから
仕返しだもんっ
大丈夫！チャント待てるよ？
賢二郎の言う事聞ける…
だから…もっと…好きになって
今までの彼女の誰よりも…
好きになって…』

ホントふざけんなって

今までの誰よりも…って？
そんなのとっくに飛び越えてる

今までのどの俺より甘く
今までのどんな事より
強く突き動かすお前が

「そんだけかよ
可愛いワガママだな…
今までとか甘いモンじゃねぇ
これからどんなオンナにあっても
お前しか見えねぇ…
姫凪、好きだ…」

【過去】なんかに負けるわけねぇよ

『…帰りたくなくさせないでよ』

「こっちのセリフだっつの。
姫凪…キス…」

「『したい』」

重なった声に笑う時間も
キスに変えて
甘く激しくお互いの
味を堪能する

息継ぎのタイミングも
視線も想いも
全部全部重ねた口付けで
最後の一分まで
お互いを甘く融かした