第49章 煙の向こう側に笑みを（白布賢二郎）

お節介×２め…。

「そうかよ」

不機嫌に応える俺に

〈ま、まさか…もう…
姫凪ー！無事かー！？
兄ちゃんだぞ！返事しろ〉

更にボリュームを上げる五色

「俺は誘拐犯か。
安心しろ、ご希望通り
ドンピシャでブロックだよ、クソが」

〈そうスか！良かった…って！
ヤバかったって事じゃないですか！〉

「付き合ってんだよ
そういう事になっても当然だべや！」

って…なに俺までボリューム上げてんだよ
クソ恥ずい。

まぁ、焦ってもどこか冷静で

〈そ、そうスけど！
姫凪はまだ学生だし…
あんなナリだけどまだクマさんのパンツで…〉

「そのクマさんは
今、天童さんの家の洗濯機の中で回ってる
まずそっちを詰めろ、クソ過保護兄貴」

機転が聞くのが俺の長所だと思うわけ。

とは言え

〈天童さん…のぉぉ！？
そんな事一言も言ってなかったのに！
すいません！切ります！
あ！門限厳守で！〉

「はいはい」

やっと切れた電話
タイムリミットは迫ってる。

「おい、生きてるか？」

『…ひゃい…』