第49章 煙の向こう側に笑みを（白布賢二郎）

まぁ、その前に

「豹変…したい
腹減っちゃった」

「豹変って
どうなるんスか？
なにを食う気で？」

「分かってるくせにー
この白いお餅みたいな肌に…？」

「へぇ？
そんなに腹減りなら
胃ごとぶっ潰すってのはどうスか？
食う気少しは紛れんじゃないスか？ねぇ？」

こっちを止めねぇと。

俺を振り返り
青ざめる天童さん

その後ろから

『白布さん？！
え！？なんで？！』

ひょっこり顔を出した姫凪

なんでじゃねぇ、このボケ
俺は怒って…んだ…

『白布さん…だよね？
夢じゃないよね？！』

怒ってんだぞ…

「う…あ…」

あー、クソッ！怒れなくしてくれんなよ…！
何だ、その顔
ご主人様帰って来た時の犬かよ！
キラキラしてんじゃねぇっつの…

なんつーか…

「お前こそ。
また無防備に
男の部屋に上がり込んでんだよ
警戒心って言葉ねぇのか
このウスラトンカチの鈍感女」

怒るタイミングも
甘くなるタイミングも
根こそぎ見送っちまって

ただの感じ悪い奴に
なっちまったじゃねぇか…！