一夜の幻【夢専用✣ハイキュー!!✣弱ペダ✣テニプリ】
第49章 煙の向こう側に笑みを(白布賢二郎)
浮かれてたのは
面倒くせぇのは
お前じゃなくて
「…分かった。
追わないから行けば?」
俺だったんだな。
追わない?
追えないの間違いだろ、このヘタレ。
『うん』
小さな背中
抱き締めたらスグ止まるのに
震える足はそれを見送るしか出来ない
頭は真っ白で何も考えたくなくて
「…賢二郎?
チョット!どうしたの!?」
「は?何?」
俺の部屋から出て来たナナに
声を掛けられるまで
そこに立ち尽くしてた事にさえ
気付かなかった
「…帰ったの?あの子」
「ナナ…
まぁ、そんな感じ…」
無気力に言葉を返すと
「私のせいで誤解された?
信じて貰えなかったんだ…
冷たい彼女だね
…部屋、戻る?
慰めてあげる」
ナナの声が急に近くなる
頬に滑る指は
細くて長くて綺麗なネイルに
キラキラして目が眩みそうになる
「賢二郎に重い彼女なんて
似合わないよ
私で良いじゃん?
ね?賢二郎…私は
賢二郎が…」
「…止めろって。
もう終わりだって言ったべ?」