第49章 煙の向こう側に笑みを（白布賢二郎）

「落ち着け、姫凪
チャント話せば分かる…」

『聞かないってば！うるさいしシツコイ！
帰るの！あの人にエッチな事してもらいなよ！
私…なんかより…好きな事
いっぱいしてくれるんでしょ！
だったら…あの人と居れば！』

ほら、ね？
可愛くないよ
憎たらしいよ
こんなんで
側になんか居られないよ

それに、これ以上
白布さんの声を聞いたら…

『帰る。バイバイ』

泣いちゃうもん。

「だから！待てって言ってんだろ！」

涙が落ちる前に抜け出そうと
向けた背中にぶつかる声は
不機嫌に苛立ってる様に聞こえて
　　
『また、待つの？
なんで…？
いつも私ばっかり待つの…？
待ってどうするの？
話す事なんか何にもないよ
聞きたい事もない…さよなら！！』

だめだ…涙…落ちちゃった。

『追いかけて来ないでね
もう、待たないから
待ちたいとも…言わないから
彼女…って浮かれて
面倒臭かった…でしょ？ごめんなさい』