第12章 ♧【いつか】じゃない約束（孤爪研磨）完結

ただ見るだけだった
そんなツマラナイ毎日も
終わりを告げる日が来た

両親が離婚した
どっちも私を引き取りたくなくて
私は親戚の所に行く事になった
引っ越しは嬉しかった
もう楽しくもない仲間と
つるまなくてもいい
居心地の悪い家はもうないのだから

誰にも何にも言わず
街を去り、髪の色を戻した
好きでもなかったカラコンは捨てて
根性だめしだって開けられた
ピアスも全部外した
でももうアイツに会うこともない
なんて、思うと少し泣けた

中学生も終わりを告げる頃
母親が迎えに来た
今更一緒に住もうだって。
笑っちゃう。　

でも…もしかしたら……
アイツの住むあの街に戻れるのなら…

母の住む家の場所で
付いていく事は決まった
そのままだった苗字が変わり　　

私は布施　姫凪になった

あの頃と同じ町並み
見た事しかない風景
唯一大好きだった公園
変わったのは私だけ
あの頃の私は居ない