一夜の幻【夢専用✣ハイキュー!!✣弱ペダ✣テニプリ】
第10章 ○溢れる想い〜前編〜(海堂薫✣WEBリク作品)完結
姫凪は持ち前の
明るさと人懐っこさで
あっという間に部員の心を
掴んでしまった
今じゃすっかりマスコット…
否。アイドル扱いだ
「クスッ。そうだね
でもこの辺にしとこうか英二?
海堂が複雑な顔してるからね」
不二先輩がドアの前で
突っ立ったままの俺に目をやった
うっ…多分この人には
俺の気持ちなど手に取るように
分かっているんだろう
あなどれねぇ…
「イヤ…別に大丈夫ッス…」
本当はぜんぜん大丈夫じゃない
他の奴から姫凪の
話を聞くたび心がかき乱される
さっさと着替えを済ましコートへ向かう
こういう時は走るに限る
軽く体をほぐしていると
校舎から姫凪が
こっちに来るのが見えた
『薫ちゃーん!また走るの~?』
俺を見つけて飛びついてきた
長い髪が風に揺らされ
仄かにシャンプーの香りがした
「あぁ今日はフリー練習だからな
まずは軽く流す」
普通に会話しながらも
動悸が激しくなる
気を抜いたら理性さえも
持っていかれそうだ
姫凪に抱きつき癖があるのは
昔からだが最近はこれも悩みの種
このまま何もかも奪ってしまいたくなる
忍耐には自信がある俺でさえ
こんな状態なんだ
他の奴がこんな事されたら…
なんて俺の心配してるのは
姫凪の知ったことではない