第8章 運び屋とハチ公（黒田雪成✣夢）完結

黒田side

あのバカ。　
速攻で喰われてんじゃねーよ！
そのくせ平然と絡んで来やがって
必死こいて諦めようとしてるオレが
バカみてぇじゃねーかよ！

もう近づくな。オマエから離れていけ。　

オマエの中から自分がユックリと消えていく所を
平然と見てられる程
オレは強くねーんだわ。

布施を突き放したものの
気持ちが消えるのとそれとは別問題で
オレは布施が好きだ
だからこそ堪えられない。
他の男のモンになって　
そいつの為に笑う姿を
素で喜ぶなんか出来ない

だから今日の部活はガチでキツイ
オレはクライマーだから
目標は東堂さんだ
でも荒北さんはオレを
変えてくれた人だから
口じゃ絶対言わないけど尊敬してる

でも…

なんもあんな速攻でヤるか？
アンタはフェラーリか！
世界最速か！もっと大事にしろや！
オレがどんな想いで
届けたか知らねぇで…

「チーッス、なんだよ今日！
暑ぃんだよバァカ！
疲れんだろ！どうしてくれんだ！泉田！」

「え…あ、すいません？」

荒北さんがいつも通り文句
言いながら入ってきた
塔一郎が絡まれてる隙に練習しに行こう
今はマヂで会いたくねぇし

「黒田ァ？ナァニこそこそしてんのー？」

そんなオレを目ざとく
見つけて声をかけてくる

「イヤ…別に…」

「あっそー。あ、布施チャンの
事だけどォ…」　

「アイツの話はしないで貰えますか！？」

「ハァ？なんで？」

「モウ関係ないんで…
それよりチャント躾しないと
ご主人様以外に尻尾振りに行きますよ」

この人への嫉妬に気づかないように
冷静を装って話す

「ハァ？なんでオレが躾んのォ？
めんどくせ！」

なんで…って…
アンタのモンにしたんだろ？
つーか、めんどくせーって何だよ？
まさか…遊び？遊びで抱いたのか？

アンタは遊びでもアイツはバカだから
本気になんぞ？
それわかってて弄んでんのか？